大人の発達障害

WAIS-Ⅲ知能検査を受けました|結果とわかったこと|大人の発達障害奮闘記

WAIS-Ⅲ知能検査を受けてきたので、結果とわかったことについて書きます。

「WAIS-Ⅲ知能検査を受けたよ。自分以外にも受けている人はいるのかな。他の人はどんな結果なんだろう」

「WAIS-Ⅲ知能検査の結果にすごく凸凹があったけど、これって自分だけ?」

私もWAIS-Ⅲ知能検査を受けた後、他の人の結果が気になって色々調べました。

同じような方の参考になればうれしいです。

WAIS-Ⅲ知能検査の結果を公表する理由

まず大前提として、WAIS-Ⅲ知能検査の結果はとても個人的なものです。受けたからといって公表しないといけないわけではありません。

それなのに、私がWAIS-Ⅲ知能検査の結果を公表するのには、理由があります。

それは「私って発達障害かも?」とか「発達障害の特性でうまくいかないことが多い」と悩んでいる方を救いたいからです。

「救いたい」というとおおげさに感じるかもしれませんが、今まで私自身、自分の特性のことで悩み、うまくいかないことがたくさんありました。

本当につらい思いもしたし、できるなら経験しないでおきたかったことばかりです。

このブログを通して、以前の私のように悩む人を少しでも減らしたいです。

当事者として情報を発信するうえで、WAIS-Ⅲ知能検査の結果を公表した方がいいと思い、今この記事を書いています。

WAIS-Ⅲ知能検査はどこで受けられる?受けるまでの流れは?

私は、近くの発達相談支援センターでWAIS-Ⅲ知能検査を受けました。

といっても、WAIS-Ⅲ知能検査を受けるために発達相談支援センターに行ったのではありません。

もともとは「発達障害かもしれなくて困ってます」と相談したのがきっかけです。

WAIS-Ⅲ知能検査を受けるまでの流れ

およそ一年前、仕事で色々あり、「私ってやっぱり発達障害なんじゃ?」という思いが強くなりました。

年下の同僚よりも仕事ができず、職場の人間関係もうまくいかない。

いっそ自分なんていない方が周りに迷惑をかけないんじゃないか、と本気で思っていました。

また前の職場でうつ病のようになった経験から、「うつになる前に、どこかで相談したい」と考えました。

そこで「発達障害 相談」と検索して、近くに発達相談支援センターがあることを知り、電話しました。

そして、どんなことで悩んでいるかや、今どんな仕事をしているのかについて、電話で話しました。

電話の最後に「実際に会ってお話しましょう」ということになりました。

それから、定期的に発達相談支援センターに通うようになりました。

最初の1回は、自分の生い立ちについて話したり、家族のことを話したりしました。

発達相談支援センターの方が色々聞いてくださるので、それに答えていく感じです。

そして、次のときにWAIS-Ⅲ知能検査を受けました。

WAIS-Ⅲ知能検査の内容については、ここに書いてしまうとこれから受ける方の結果に影響してしまうかもしれないので、あえて書きません。

その次のときには、自分の考えていることを文章で書くというのをやりました。(これは知能検査とは別のものかもしれないです。)

なんでも書いていいのではなく、たとえば「みかんは・・・」という書き出しがあったとして、続きを自分が思ったように書くというものです。

「みかんは」の場合は、私だったら「おいしい」って書きますね。

実際は、もっと自分の考え方に迫ってくるようなお題でした。

そして次のときに、知能検査の結果についてのお話を聞きました。

長くなってしまいましたが、次からWAIS-Ⅲ知能検査の結果について書いていきます。

(知能検査が終わってからも、発達相談支援センターには通っています。その時々で困っていることについて相談にのってもらっています。)

WAIS-Ⅲ知能検査の結果

まずは数字をのせます。

合成得点 パーセンタイル順位 信頼区間(90%) 記述分類
全検査IQ(FSIQ) 108 70 104-112 平均ー平均の上
言語性IQ(VIQ) 112 79 107-116 平均ー平均の上
動作性IQ(PIQ) 102 55 96-108 平均ー平均

 

合成得点 パーセンタイル順位 信頼区間(90%) 記述分類
言語理解(VC) 118 88 112-122 平均の上ー高い
知覚統合(PO) 108 70 100-114 平均ー平均の上
作動記憶(WM) 92 30 86-99 平均の下ー平均
処理速度(PS) 86 18 81-94 平均の下ー平均

 

結果レポートには、数値以外に検査時の私の様子を見ての、検査者の方の所見も書いてあります。

私の場合は、

  • 言語性検査のとき、解答の途中で「すみません」や「○○でごめんなさい」といった言葉を多々発する様子がみられ、○○さんの持ち味の一端が感じられました。
  • また、聞いて覚えるときに、視覚化を試みることで少しでも記憶の一助にしようとする姿が見られました。

ということが書いてありました。

また、数値だけでは素人には判断が難しいので、「総合所見」として文章で私の特性についての説明や今後に向けてのアドバイスも書いてくれてありました。

内容は以下のような感じです。

  • 言語理解:語彙が豊富で、言葉の説明、抽象化等、言語知識や言語理解(表現)にまつわる領域はとても高いです。
  • 知覚統合:絵や記号から、それらの関係性を推測することは得意です。一方、「積木模様」に象徴されるような、実際に構成が伴うものについては、やや時間がかかるようです。
  • ワーキングメモリー:個人内において、視覚的な手がかりが全くない中で、聴覚のみによる短期記憶は苦手です。
  • 処理速度:速さ(量)×正確性の作業をみています。丁寧に符号や記号の照らし合わせを行い、記載されている様子が伺えましたが、時間がかかりやすく、量を多く産出することには難しさがみられました。

【今後に向けて】

  1. 聞いて理解するよりも、文章化されているものを読んで理解する方が、内容をより的確にかつ早く把握できるタイプ。とくに、新しいことは、言葉で説明を受けるよりは、説明書きやマニュアルがあると不安が減るでしょう。
  2. 様々なことを覚えたり、正確に理解するために、自分の中で書いてまとめておくとよい。
  3. 新しい状況に馴れるまでに時間がかかり、緊張や不安がこうじやすい。時に緊張や不安が怒りに変わりやすい時もあるため、行動に起こす前に、一旦自分の気持ちを冷静にしていきましょう。また、下調べを行っておくことも、有効でしょう。
  4. ミスをしないようにという気持ちが人より強いところがある。作業的なことには時間がかかりやすく、適当であることは苦手であるため、何事にも多めの時間を見積もっておくといいでしょう。

レポートに書いてあったこと以外に、口頭でも説明を受けました。

上の表で、全検査IQは108で問題なく見えます。

ですが問題はそこではなく、下の表の「個人内差」だそうです。

個人内差というのは、「言語理解」「知覚統合」「ワーキングメモリー」「処理速度」の値の差のことです。

私の場合は、一番高い「言語理解」が118、一番低い「処理速度」が86です。

差は、118-86=「32」となります。

定型発達の方だと、この差がだいたい15以内くらいだと聞きました。

個人内差が大きいということは、すなわち、その人の中の「得意」「不得意」の差が大きいということです。

一通り説明を受けて、びっくりしたというよりは、「やっぱりそうだったんだな」と納得する部分が多かったです。

「この結果は、発達障害ということですか」と直球で質問しましたが、発達相談支援センターの方は、診断はできないということでした。

(診断するのはお医者さんだそうです。)

その後、相談を続けていく中で、今度、心療内科を受診することになりました。

受診のようすや話した内容、診断名などについては、またわかり次第書きたいと思います。

WAIS-Ⅲ知能検査を受けての感想

 

 

補足

①信頼区間とは?

表に出てくる「信頼区間」については、以下の動画でわかりやすく説明してくれています。

QuizKnock(クイズノック)の動画は、他にも面白いものがたくさんあります。

ぜひご覧になってみてください。

②「言語理解」「知覚統合」「ワーキングメモリー」「処理速度」とは?

LITALICOキャリアさんのサイトより、引用させていただきました。

こちらで紹介されているのは、WAIS-IV知能検査についてですが、私が受けたWAIS-Ⅲ知能検査と項目はほぼ同じだったので、参考にさせていただきました。

(間違っているぞ!!という場合には、以下のお問い合わせから教えてくださるとありがたいです。)

言語理解指標(VCI)が低い場合
口頭での指示や説明が理解しづらかったり、言葉での説明や会話によるコミュニケーションに困難があることを示しています。

指示を口頭で聞くだけではなく、メモでわたしてもらうようにしたり、図解やイラストで説明してもらう等の工夫ができるとよいでしょう。

知覚推理指標(PRI)が低い場合
図や地図を理解することや、物事の見通しを立てることなどに困難があることを示しています。この場合、図や地図といった視覚的な説明ではなく言葉での説明をしてもらったり、活動の目的と工程を自分でリスト化したりすることが有効です。

ワーキングメモリの指標(WMI)が低い場合
ワーキングメモリは、頭のなかに情報を一時的に保持しながら、物事を処理する能力に関する指標です。対象に注意を向け続けることが難しかったり、耳から入る聴覚情報の処理に困難があるため、会話や指示の内容を覚えたりすることへの難しさがあることを示しています。電話をしながらメモを取るなどの行為が例として挙げられます。

さらにワーキングメモリは、読み書きや計算などの能力にも関連しているといわれています。

時間を取ってメモをする、録音をとりながら話を聞くといった工夫をすることで困難を軽減できるかもしれません。また読み書き・計算の困難に対しても「文章の概要を図解化する」「電子機器を用いて計算を行う」といった工夫ができるでしょう。

処理速度指標(PSI)が低い場合
視覚情報の素早い処理や、その情報に基づいた作業を時間内に終わらせることに困難があることを示しています。

作業をする際には、作業時間の調整や、こまめに休憩を取ったり、作業を区切ったりすることで集中力をあげるなどの仕事環境をつくる工夫が考えられるでしょう。

(引用:https://litalico-c.jp/magazines/103)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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